腸内フローラをご存知ですか?簡単に言えば「腸内細菌の集まり」のことです。この腸内フローラの解明が進んでおり、医療界に革命を起こす可能性を秘めているということです。2015年2月22日に放送されたNHKスペシャルの内容をもとに、ご紹介いたします。
腸内フローラは、美肌、ガン、ダイエット、うつ、糖尿病、アレルギー、薄毛、に加え、性格にも大きく関わっているという驚きのパワーが秘められているそうです。
冒頭で腸内フローラとは腸内細菌の集まりと言いましたが、400種類以上の腸内細菌のうち一人あたり200種類・100兆個が腸の中で共存しています。腸内細菌は生命活動の中で色々な有益な物質を産生し、人間をサポートしています。
例えば、特定の腸内細菌が出す「短鎖脂肪酸」は脂肪の蓄積を抑える働きがあり、その菌が十分いればダイエットに効果的ということになります。
太った人の便と細い人の便を別々のマウスに移植し、経過をみたところ太った便を移植したマウスは体重が増加し、細い人の便を移植したマウスは変わらなかったという実験結果が紹介されていました。
もう一つ興味深いのが腸内フローラと「性格」の関係です。
腸は「第二の脳」と言われる程自律神経に深い関わりがある器官で、神経細胞の数は脳についで2番目に多く存在していますが、性格とはちょっと別ではないかと思えてしまいます。
そんな中、活発なマウスと臆病なマウスの腸内フローラを入れ替えたら、活発なマウスは臆病に、臆病なマウスは活発に変化したという実験結果がありました。
具体的な菌やその産生物質は明かされませんでしたが、社交的な性格な人のうんちを移植すると社交的になる、かもしれません。
便秘になると肌荒れになる、というのはわりと知られていますが、シワも腸内フローラの関係がありました。しかも、すでに刻まれたシワの深さが浅くなるという実験結果です。
大豆が腸内細菌により分解されてできる物質にエクオールというものがあります。こちらは女性ホルモンに似た物質で、お肌のハリに関係するコラーゲンを作り出している「繊維芽細胞」を元気にしてくれると考えられています。
実験はこのエクオールを女性に飲んでもらって、シワの深さの変化を調べたところ、飲んだ方はシワが浅くなったというものです。
エクオールを産生する腸内細菌、ぜひとも自分の腸にもほしいです!
腸内フローラがすごいパワーを秘めているのはこれだけでも伝わってきますが、どうすればいいでしょうか?
一つは、いい働きをする腸内フローラを移植(便微生物移植)することです。
実際、欧米では腸内フローラの移植が行われているようです。要は便を移植するものですね。
特定の腸内細菌だけが増えてしまい様々な症状が出てしまうという難病の患者。何をしても治らなかった患者に、便を移植したところすっかりよくなったという事例がありました。
ただこの便の移植、日本ではまだ臨床実験が進められている段階ということで、日本で移植できるのはまだ先になりそうです。
それ以外に紹介されていたのは、腸内細菌のえさとなる食物繊維を摂ること。
食物繊維を多く含む食品として
ごぼう、たまねぎ、アスパラガスなどの野菜、納豆、大豆などの豆類
が挙げられていました。
食物繊維について深くは触れていませんでしたが、食物繊維は水溶性と不溶性があり、特に水溶性の食物繊維は脂肪の蓄積を抑える「短鎖脂肪酸」を出す腸内細菌が好むと言われています。
水溶性の食物繊維は、昆布、めかぶ、寒天など、海藻に多く含まれています。
特に寒天は8割が食物繊維と言われ、カロリーも少なく満腹感も得られるのでおすすめです。
ごぼう、納豆は水溶性も不溶性もたくさん含みますのでバランスが優れています。
まだまだ腸内フローラには未解明のことが多いようで、研究が進むともっともっと色んな働きが見つかることが期待されています。
日本で便微生物移植が可能になるまでまだ時間がかかりそうなので、今は食物繊維を摂って腸内細菌を元気にして、移植できる日が来るのを待ちましょう。
太りにくくする菌と、シワを減らす菌、糖尿病になりにくくなる菌、うつになりにく菌、花粉症やアトピーを抑える菌、薄毛を抑える菌など、夢のような腸内フローラが自分の腸に根づく日が来ることが楽しみです。
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