日本が誇るスーパーフード「納豆」にまた嬉しい研究データが発表されました。それは納豆を食べると脳卒中(脳梗塞・脳いっ血)や虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)での死亡リスクが下がるというもの。これらは死因の上位にくる危険な疾患。新たな納豆の力をご紹介します。
岐阜大の研究チームが米国の臨床栄養学の雑誌に発表した内容は「納豆が脳卒中や虚血性心疾患の死亡リスクを下げる。」というものです。
高山市に住む約3万人を対象に、健康状態や食習慣などを尋ね、16年後の死亡率や死因の調査を実施したそうです。3万人を16年とは壮大な研究ですね。
これらを納豆をふだんよく食べる人とそうでない人を4つに分けて分析したところ、納豆を最もよく食べるグループはほとんど食べないグループと比較して、脳卒中による死亡率が約3割も少なかった他、血性心疾患の死亡率も低いという結果が出たそうです。
納豆をよく食べるグループは山ほど食べていたのかというと、意外にも1日7グラム。
納豆1パックが約50g程度ですので1週間で1パック程度。
これなら食べてる方もいそうですね。
ところで納豆でリスクが減る「虚血性心疾患」や「脳卒中」をご存知ですか?
実は日本人の死因の上位を占める危険な疾患なのです。そのためこの死亡率が下がるのはすごく喜ばしいことなんです。こちらについてもう少し詳しくみてみましょう。
日本人の死因の上位は多い順に「がん」、「心疾患」、「肺炎」、「脳疾患」の4つ。
「肺炎」と「脳疾患」は順位が入れ替わることもありますが、ここ何十年も上位4つはこちらで占めている死因です。
最も死因が多いのは「がん」ですが、死因となる臓器でみると「心臓(心疾患)」が最も多いのです。
というのは、「がん」は肺がん、大腸がん、乳がんなどを多くの種類をひとまとめにしていますが、「心疾患」は「心臓」だけ。そのため臓器という見方では最も多くなります。
しの心臓の病気の総称である「心疾患」の代表的な疾患は心筋梗塞や狭心症ですが、これらは「虚血性」の疾患と言われています。
虚血とは、血液が必要とされる臓器や組織にいき届かないこと状態のことを言います。
太い動脈が動脈硬化や血栓などにより血管が塞がれ、血液が流れないことが主な要因です。
つまり、今回納豆により死亡率が低下した「虚血性心疾患」とは、心臓に必要な血液が不足・いきわたらないことで心臓の機能が低下するというものです。
「血液を送り出す心臓自体に血流が足りない?」というのもちょっと意外な気もしますが、心臓自体も血液が必要ということなんですね。
では逆に「虚血性じゃない心疾患もあるの?」というとあるんです。
例えば、細菌などが心臓に入り込んでおこるリウマチ性心疾患などがあります。
ただ、心疾患の多くはこの虚血性に分類(8割と言われています)されるため、単純に心疾患と呼ぶと虚血性心疾患を指すことが多いです。
虚血性心疾患の一つである心筋梗塞は発症すると死亡率が高いので、納豆でこのリスクが低下するのはすごく大きな意味があるといえます。
一方の脳卒中とは、脳梗塞や脳溢血(のういっけつ)、くも膜下出血など、脳で起こる血管系の病気の総称です。
死因では長年3位でしたが近年は肺炎に抜かれ4位になりました。
脳卒中による死亡率が減っているのは喜ばしいのですが、発症率はそれほど減少していません。
医療の進歩等により死には至らなかったけど後遺症が残ったという方は増えています。
重い後遺症は本人はもちろんのこと、ご家族などにも深刻な影響を与えますので納豆がリスクを低下させられるのであれば素晴らしいことです。
では脳卒中や虚血性心疾患に対して納豆の何がどのようによかったのか気になりますよね。
実は今回の調査は食事などの調査結果をまとめたものであって、納豆のどの成分がどのように作用したなどは明らかにしていません。
しかし興味深いのは納豆では有意な関連が出たのに対し、大豆食品一般には認められなかったということです。
というのも今回の調査では食べた食品によって「納豆」、「大豆イソフラボン」、「大豆たんぱく質」に分けていたのですが、納豆以外には有意な関連は認められなかったそうです。
大豆自体、とても栄養豊富で体によい食べ物ですが、今回の調査では納豆のみ。
となると、ナットウキナーゼや納豆菌、納豆菌が産生するその他の有用物質がこれらの疾患の原因に対して有効に作用したと推測できます。
とにもかくにも恐るべし、納豆のパワーです。
となるとさっそく納豆を食べたくなりますよね。
納豆のパワーを摂りいれるため、次の点に注意しましょう
1.脳梗塞の予防にはいいが、脳梗塞のお薬を飲んでいる方は注意
脳梗塞の予防に納豆が効果的なのに、脳梗塞になってしまった人は注意が必要です。
というのは薬との相性が悪い場合があるのです。
脳梗塞になった方は医師から血液サラサラにするワーファリンという薬を処方される場合があります。このワーファリンは納豆に豊富に含まれるビタミンKと相性が悪く、ビタミンKがあると働きが阻害されてしまいます。
ただお薬の種類によっては問題ない場合もありますので、納豆を食べる場合は医師に相談することをおすすめします。
2.ナットウキナーゼや納豆菌より納豆を選びましょう
今回の調査では、納豆が脳卒中等のリスクを下げたという研究データであって、ナットウキナーゼや納豆菌とは結論付けていません。
納豆が苦手とか手軽に食べたい場合、サプリメントを探す方もいるかもしれません。
ただサプリメントはナットウキナーゼや納豆菌のタイプが多いので、もし探す場合は納豆そのもののタイプをおすすめします。
納豆にはまだまだ解明されていないパワーが秘められている可能性があります。
日本の誇るスーパーフードが世界で注目される日も遠くないかもしれませんね。
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