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牛乳は体に悪い?でも他の乳製品は聞かないのはなぜ?

これまで牛乳は体にいいとされていましたが、近年体に悪いという情報もあり、肯定派と否定派で激しい議論がなされています。一方で、牛乳から作られる他の乳製品ではあまり聞きません。牛乳がなぜ議論になるかと他の乳製品はどうなのかについて考えてみたいと思います。

牛乳は栄養豊富な完全食品? 文科省が定める「完全給食」とは?

牛乳はカルシウムの他、栄養バランスに優れた食品というイメージがありますよね。

昔から体の成長にかかせないものと言われ、背を伸ばしたいから牛乳を飲むという人もたくさんいました。

 

その象徴といえるのが学校給食。パン食はおろか、ごはん食やソフト麺でも給食には必ず毎日牛乳がついています。

しかし学校給食に牛乳が出るのは栄養面だけではありません。国の方針ともいえるのです。

 

「完全給食」という言葉、聞いたことありますか?

 

これは学校給食法という法律の施行規則に登場する言葉で、「給食内容がパン又は米飯、ミルク及びおかずである給食のこと」を完全給食と呼び、推奨しています。

 

ただ完全給食自体は義務ではないようですが、その響きから「完璧な栄養バランスの給食」という印象を受け、ほぼ全ての学校が完全給食を出す、つまりミルク(牛乳)を出しているのだと推察できます。

 

 

国(文科省)が完全給食の項目の一つにミルクを明記している理由は分からないですが、栄養バランスや発育などを考慮しているものと推察されます。

  

児童・生徒にしても学校が毎日牛乳を出されていれば、その意味を教わらなくてもその意味を感じ取り、子供の心に牛乳は発育にとって大事なものと認識します。

 

日本人が牛乳が体にいいと思うのは今の環境ではとっても自然なことと言えます。

 

では次に牛乳が体に悪いと言われるのはなぜか見てみましょう。

 

牛乳は体に悪い?

近年、牛乳は体に悪いと言われる記事をよく目にするようになりました。

 

その主な理由として

・牛乳を出す牛の飼育環境が悪く(ホルモン剤など)、牛乳にも有害物質が混入している

・カルシウムを含む一方で、減らす作用があるリンも含み、カルシウムがむしろ不足する

・乳脂肪は飽和脂肪酸で、摂りすぎは動脈硬化につながる

・乳糖が分解できず、腸に負担をかける

・牛乳のたんぱく質は消化しにくく腸を汚す

・がんになりやすくなる

・そもそも赤ちゃんも数年で乳離れするのに大人が飲むものではない

・アトピーなどのアレルギーの原因

というものが多いようです。

 

確かにどれも気になる内容で、避けたいなと思う方も多いと思います。

 

ではその牛乳から作られるヨーグルトやチーズといった食品はどうなのでしょうか?

ヨーグルトやチーズが体にいい・悪いの議論はあれど、牛乳ほどではありません。

 

牛乳の否定理由とヨーグルト・チーズとの違いは何なのでしょうか?

 

牛乳は否定しても、ヨーグルトやチーズは否定しない?

牛乳が体に悪いとされる理由を掘り下げながら、なぜヨーグルトやチーズは否定されないのか、乳製品と牛乳との違いを挙げてみましょう。

 

・牛の飼育環境が悪い → ヨーグルトもチーズも一緒

現在の牛の飼育環境はよくないと言われています。

 

衛生状態もそうですが、短期間に大量の牛乳を生産できるように、成長促進や妊娠状態にさせるホルモン剤を混ぜたエサを与えていると言われています。(特にアメリカ)

そのホルモン剤は牛乳にも混ざり、それが悪影響を与えているということです。

 

これはヨーグルトやチーズも同様ですので、ここに違いはありません。

 

ブロイラーのように狭苦しい牛舎で促進剤入りの遺伝子組み換えトウモロコシを食べて育った牛からとれた牛乳は体に悪いと言われても仕方ないかなと思います。

 

・リンが多く、カルシウムの吸収を阻害する → 魚・肉にもリンを含み特別多くない

リンは魚や肉に含まれる栄養ですが、牛乳だけ特に多いということもありません。

チーズは凝縮された分、グラム当たりのリンの量は増えますが気にするほどでもありません。

 

・牛乳は飽和脂肪酸が多く、動脈硬化につながる → 摂りすぎはNG

飽和脂肪酸は動物性の油で、摂りすぎが良くないのはその通りだと思います。

 

乳脂肪が凝縮されたバターはさらに多いですが、摂りすぎNGは良く知られていますね。

 

・日本人の多くは乳糖が分解できず、腸に負担をかける → 温めたり発酵しよう

牛乳の乳糖が分解できず、おなかがゆるくなってしまう人は多いです。

 

最もよくあるのが牛乳を温めて飲むこと。

冷たいものより腸の刺激が和らぎ、少ないながら存在する乳糖分解酵素が活性化します。

 

またヨーグルトやチーズなど発酵食品は、その発酵の過程で乳酸菌が乳糖を分解し、減少するため下痢などになりにくいです。

 

・牛乳のたんぱく質は消化しにくく、腸を汚す → ゆっくりだけど消化はします

たんぱく質には消化がいい性質のものと、ゆっくり消化するものがあり、牛乳のたんぱく質はゆっくり消化するものです。

 

消化しないわけではないのですが、一度に大量に飲むのは避けた方がいいかもしれません。

 

ヨーグルトは発酵の過程でたんぱく質がアミノ酸に分解され、吸収しやすくなります。

 

・がんになりやすい → 可能性は否定できないが断定もできない

牛乳とがんの統計をとったデータから一部でそのような論文が出されたようですが、同時に牛乳によるものと断定できないとも記載があり、なんとも言えません。

 

・そもそも赤ちゃんは数年で乳離れし、大人が飲むのものではない → 牛乳だけじゃない

牛乳は牛の赤ちゃんの飲み物で、大きくなったら牧草を食べるという意味ではその通りかもしれません。

 

ただ、キャビアやトリュフなど成人の人間が食べるものは牛乳に限らず他の動物が食べないものを食べているので、牛乳だけ言われてもピンときません。

ちなみにヨーグルトやチーズに至っては人間以外作れないので食べれません。

 

・アトピーやアレルギーの原因 → 幼児は特に注意

近年食品アレルギーをもつ子供が増加しています。

小麦・そば・卵などと並び、牛乳もアレルギー原因になりやすい食品とされています。

 

アレルギーの多くはたんぱく質に由来し、牛乳のたんぱく質は消化しにくい部分と相まってアレルギーになりやすい可能性はあります。チーズやヨーグルトはいくらかましになりますが、アレルギー体質の方は注意が必要です。

 

とはいえ牛乳・小麦・卵を食べられない方はともかく、アレルギーが出ない方が小麦も卵も食べるのに牛乳だけをアレルギー原因とするのは違和感があります。

 

 

いろいろ見てきましたが結局のところどう付き合えばいいのでしょうか?

私なりの考えをお伝えして終わりたいと思います。

 

 

体に悪いかはさておき、完全食品という盲信はよくない

 牛乳は体に悪いかどうかは考え方にもよりますが、劣悪な環境と薬剤入りのエサで育てられた牛乳はやっぱり避けたいと思います。

 

だからといって、赤ちゃんは母乳だけで育つぐらい牛乳は完璧だとか、完全給食だとかいう言葉から、牛乳を完璧な食品で毎日たくさん飲んでればいいというのも違う気がしています。

 

広大な牧場でのびのび育てられた牛乳はおいしいですし、チーズやヨーグルトなど今の食生活に牛乳は欠かせない存在です。

 

ただ「牛乳が体に悪い」は言葉足らずで、個人的には

「今の環境で作られる牛乳を完全栄養食品と盲信してたくさん摂りすぎると体によくない」

と思います。

 

 

商業目的だけの劣悪な環境で作られた動物や、食品添加物が入った食品など、牛乳以外にもいろんな食品についての食の安全についてみんなが興味をもつといいなと思います。

 





代表者:刑部亮
1977年浜松市生まれ。2児のパパ。生まれた時から自然食品で育てられ、今は子供に食育中。趣味は山登・キャンプ・お酒・ダイビング(ブランク中)
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